バイト② チクビ丸出し。
バイト②
私は今素っ裸。顔は無表情。多くの若者が私を見ている。
動けない。右足の太ももの付け根がぴきぴき痛くなってきた。
あと1分19秒がまん…
目線もはずしてはいけない。だんだん壁のシミが顔に見えてきたぞ。。
そう、私はデッサンモデル。
美術モデルともいう。
この時ばかりは私は"生身の人間の肉体"という"モノ"だ。いくら裸だからといって、何も奉仕はしない。その物体を物体として提供するのだ。
それはなんとも不思議なことで、真っ裸なのに誰も私のことをしらない。声も、笑顔も、喋り方も知られることはない。
ただひたすらに、私のシルエットからディティールまで、私が、私ですら見たことのない視点で凝視され、絵にされる。
良い、悪いとかではなく、とても面白いことだと思っている。写真モデルとは違い、絵でしかこの世に残らない。というのもロマンチックだと思っている。
すごく好きでもない、一生やる気もない、と思っていたけどきらいじゃなくて、もう何年もやっているバイトのひとつ。
夜の社交場とは真逆。さて、明日も朝早いので寝ます。